材質別に熱伝導率を比較すると見えてくる銅の「コスパ」

こんにちは、「銅加工.com」を運営する畑鉄工株式会社、代表の畑です。
金属にはいくつもの種類がありますが、そのなかで特にコスパが良い金属は何かご存知でしょうか?正解(というか私の見解)は、10円玉に使われるなど普段から接することが多い「銅」です。
「……でしょうね」などと思った方もいるかもしれません。しかし、昨今の金属価格の高騰により、この「コスパ」の常識も変化しているのではないかと気になっている方も多いでしょう。
そこで今回は、2026年1月の最新データを基に、銅をはじめとする金属のコスパを計るうえで重要となる「熱伝導率」と「最新の建値(価格)」について解説していきます。
熱伝導率が高い金属って何?
金属加工をスムーズに進める、あるいは放熱性を高める上で、「どれだけ熱が全体に素早く伝わっていくか」を示す熱伝導率はとても重要なポイントになります。
主要材料・金属の熱伝導率比較
| 材料・金属 | 熱伝導率(W/m K) | 分類 |
|---|---|---|
| ダイヤモンド | 1000~2000 | 非金属(参考) |
| 銀 | 420 | 金属 |
| 銅 | 398 | 金属 |
| 金 | 320 | 金属 |
| アルミニウム | 236 | 金属 |
| 真鍮 | 106 | 合金 |
| 鉄 | 70~80 | 金属 |
| ステンレス | 16 | 合金 |
※代表値(室温付近)。合金組成や温度により変動します。
表を見ると分かるように、材料全体ではダイヤモンドが非常に高い熱伝導率を持ちますが、金属に限ると銀・銅がトップクラスです。性能だけで見ればダイヤモンドや銀が優秀ですが、コストを考えるとどうなるでしょうか。
【2026年1月更新】主要地金建値を見ると、銅のコスパは依然として優秀?
ここ数年、世界情勢の変化や為替の影響(円安)により、あらゆる金属価格が歴史的な高値を記録しています。2026年1月現在の主な金属の建値(たてね)を見ていきましょう。
主要金属の建値比較(2026年1月時点)
| 金属 | 建値(2026年1月時点) | 比較基準(2019年12月平均)との比較 |
|---|---|---|
| 金 | 約 26,000 円/g | (約5倍に高騰) |
| プラチナ(白金) | 約 13,500 円/g | (約4倍に高騰) |
| パラジウム | 約 9,350 円/g | (約1.4倍に上昇) |
| 銀 | 約 527 円/g | (約8倍に高騰) |
| 銅 | 2,110 円/kg | (約3倍に上昇) |
| スズ | 約 8,100 円/kg | (約1.5倍に上昇) |
| 亜鉛 | 568 円/kg | (約2倍に上昇) |
銅価格も上がりましたが、貴金属はもっと上がっています
以前の記事では銅の建値を「705円/kg(2019年12月平均)」と紹介していましたが、2026年1月8日の改定で2,110円/kgとなり、ついに2,000円の大台を突破しました。「銅も高くなったな……」と感じるかもしれません。
しかし、比較対象を見てください。金は1gあたり26,000円を超え、銀も527円/gを超えています。熱伝導率が銅よりわずかに高い「銀」を使おうとすると、材料費は銅の約250倍(2026年1月8日時点の比較: 銀527円/g ÷ 銅2.11円/g)もかかってしまう計算です。
一方で銅は、価格が3倍になったとはいえ、1kgあたり約2,110円。「金や銀に次ぐトップクラスの熱伝導率を持ちながら、価格は貴金属に比べて圧倒的に安い」という銅の立ち位置は、2026年現在でも変わっていません。むしろ、貴金属の価格高騰が著しいため、相対的な「コスパ(費用対効果)」は依然として最強と言えるでしょう。
(余談)10円玉の原材料費について
ちなみに、10円玉(青銅貨)の重さは4.5gです。現在の銅建値(約2.11円/g)で単純計算すると、銅の原材料価格だけで約9.5円に達します。
ただし、実際の製造コストは合金組成や加工費など複数の要素で決まり、造幣局による公式なコスト算定情報は公表されていません。したがって、「額面を超えている」とは断定できませんが、原材料価格だけで見ても額面に近づいているのは事実です。身近な硬貨からも、金属価格の高騰トレンドを感じ取ることができますね。
合金によっても熱伝導率は異なる
同じ銅でも、合金になると熱伝導率は下がります。
銅合金の熱伝導率比較
| 金属 | 熱伝導率(W/m K) |
|---|---|
| 無酸素銅 | 391 |
| タフピッチ銅 | 391 |
| りん脱酸銅 | 339 |
※代表値(室温付近)
「りん脱酸銅」までいくと、金(320)に近い数値になります。コストが高騰している今だからこそ、材料選定のミスは許されません。「熱伝導率を最優先したい」のであれば、合金ではなく純銅(無酸素銅やタフピッチ銅)を選ぶことが、コストパフォーマンスを最大化する鍵となります。
まとめ
2026年に入り、銅の建値は2,110円/kgという歴史的な高水準にあります。しかし、金・銀・プラチナなどの貴金属と比較すれば、「熱伝導率に対する価格の安さ」は依然として圧倒的です。
熱対策や導電性を確保しつつコストを抑えたい場合、銅は変わらず最良の選択肢です。これだけ材料費が変動している今、無駄のない材料取りや、効率的な加工方法の提案がより重要になっています。
最新価格に基づいたコストダウン提案や、銅加工のご相談なら、「銅加工.com」を運営している畑鉄工株式会社まで、ぜひご連絡ください。
監修者情報
代表取締役 畑 敬三
株式会社ハタメタルワークスは、産業用電池や車輌機器向けの「銅加工」を専門とし、昭和10年の創業以来「誠実な対応」と「確かな製品」で信頼を築いてきました。迅速な対応により最短翌日納品が可能で、小ロットにも対応します。「小さな一流企業」を目指し、「銅加工ならハタメタルワークス」と評価されるまで成長。今後も独自の価値を提供し続けます。
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