プレス加工の基本となる「せん断加工」を徹底解説!
こんにちは、「銅加工.com」を運営する畑鉄工株式会社、代表の畑です。
数ある金属加工方法なかでも、特に基本とされているのが「せん断加工」です。ただし生産現場では基本であっても、発注を検討されているお客様からしたらどのような加工なのかよく分からないかもしれません。
今回はせん断加工について詳しくご紹介するとともに、せん断加工の主な種類や「せん断バリ」についても解説していきます。ぜひ最後までお読みください。
せん断加工とは?
せん断加工とは、上下一対の金型を使用して素材となる金属の平板を切断していく加工方法です。金属加工には曲げたり折ったりする作業がありますが、せん断加工は基本的に「切る」動作を目的としています。金属素材を「ダイ」と呼ばれる下の金型に乗せ、「パンチ」と呼ばれる上の金型で圧力をかけて切断する仕組みです。
せん断加工には単に「切る」だけではなく、「穴あけ」「打ち抜き」「切り欠き」といったさまざまな技法もあります。
せん断加工の仕組み・プロセスを解説
せん断加工のプロセスは、「クッキー作り」を思い浮かべると理解しやすいでしょう。クッキーは型抜きの際、生地をまな板などの上に置き、「抜き型」によって望みの形を作っていきます。クッキーの抜き型の役割をパンチが、まな板の役割をダイが担うイメージですね。
せん断加工では、まず素材となる金属の平板上面にパンチを押し付け、圧力によって板を曲げていきます。その際、パンチとダイは素材の上下逆方向に力が加わっていくことになりますが、これがせん断力です。
パンチとダイから加えられる力に銅などの金属が耐えられなくなると、「クラック(亀裂)」が発生します。そのまま力をかけていくと、クラックが破断面を形成しながら切断されていきます。この際、加工面に生成されていくのが「バリ(かえり)」です(バリ取りについては後述します)。
せん断加工の主な種類
せん断加工のなかでもメインとなる3つの加工方法を、ご紹介していきましょう。
ブランク加工
プレス加工に適した「板材(ブランク)」を得るために金属素材を打ち抜くのが「ブランク加工」です。ブランク加工は単純に打ち抜く作業のみでなく、コイル材の巻きぐせ除去・素材洗浄、ブランク材積み上げなどといった作業も加工内容に入ります。
トリミング加工
機械と材料や機械同士の接触を調節したり、素材の余白部分を取り除いたりするのがトリミング加工です。加工素材をウレタンゴムなどでできたパッドに固定し、パンチにより打ち抜きます。トリミングによって、ライン停止などのトラブルにつながる「スクラップ」と呼ばれるパーツを除去できます。
穴あけ加工(ピアス)
素材に穴状のせん断を加える加工が、「穴あけ加工(ピアス)」です。穴あけ加工で使用するパンチは「ピアスパンチ」、ダイは「ボタンダイ」と呼ばれます。加工方法としては、ボタンダイの上に素材を固定してから、ピアスパンチで打ち抜くのが一般的。この加工も、トラブル発生の要因となるスクラップを適切に取り除くうえで有効です。
「せん断バリ」の発生メカニズムと対策
金属加工を進めるなかで注意しなければならないのが、加工面に発生する不要な突起「せん断バリ」です。バリをそのままにすると、製品に傷がついたり手を傷つけたりする原因になります。せん断加工などの切削加工ではエッジ部分に必ず発生する現象であり、対策が欠かせません。
バリ取りにはNC装置にツール(割りピン・ブレード・球形カッターなど)を取りつけて行う方法と、専用機(バレル研磨法・ブラスト法・ウォータージェット法など)を用いて行う方法の2種類があります。加工する金属にとって、最適な方法は異なります。
まとめ
今回は、銅加工などで主力となるせん断加工の特徴や仕組み、種類などについてご紹介しました。もし金属素材のせん断加工を依頼したいと考えているようなら、「銅加工.com」を運営している畑鉄工株式会社までご連絡ください。
畑鉄工では、最新鋭の設備や機器を熟練の職人たちが使用し、高品質・高精度なせん断加工を実施しています。また当社では、バリ対策のため3ミリまでをせん断加工で、4ミリ以上はカッターで切断するという方針を掲げて品質の向上に努めています。バリの影響がなるべく出ないような工夫をしているので、ご興味がある方、精度の高い金属加工業者をお探しの方はお気軽にご相談ください。
監修者情報
代表取締役 畑 敬三
株式会社ハタメタルワークスは、産業用電池や車輌機器向けの「銅加工」を専門とし、昭和10年の創業以来「誠実な対応」と「確かな製品」で信頼を築いてきました。迅速な対応により最短翌日納品が可能で、小ロットにも対応します。「小さな一流企業」を目指し、「銅加工ならハタメタルワークス」と評価されるまで成長。今後も独自の価値を提供し続けます。
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