ケーブルに銅が使用される理由とは?金属の電気伝導率の比較

こんにちは、「銅加工.com」を運営する畑鉄工株式会社、代表の畑です。
銅が食器や建築物などに用いられていることは、多くの方がご存知のことかと思います。実は、銅はその他にも「銅線ケーブル」として、スマートフォンからEV(電気自動車)、産業機器まで多くの場面で活躍している金属です。
しかし、なぜケーブルに銅が選ばれているのか、その理由を正確に把握している方は少ないかもしれません。「価格が高騰している今、もっと安い素材でもいいのでは?」と思う方もいるでしょう。それでも銅が選ばれ続ける最大の理由は、やはり「電気伝導率」と「コストパフォーマンス」のバランスにあります。
今回は、2026年の最新データを交えながら、「電気伝導率とは何か」そして「なぜ銅が最強の素材なのか」について解説します。
物質によって異なる電気伝導率
電気伝導率とは、「電気伝導度」「導電率」とも呼ばれる、その物質がどの程度の電気を通すかを示す数値です。この数値が高ければ高いほど、電気をスムーズに通し、ロス(発熱など)が少なくなります。そのため、省エネが求められる現代の電化製品において、電気伝導率は非常に重要なスペックとなります。
この電気伝導率は金属の種類によって大きく異なります。たとえば、銀や銅などは非常に高い数値を誇りますが、ステンレスやチタンなどは低く、電気を流す用途にはあまり向きません。製品の用途に合わせて、最適な金属を選ぶことが重要です。
※導電率(%IACS等)は、温度(通常20℃基準)・純度・加工状態(焼鈍/加工硬化)で変動します。
銅は「銀」の次に電気伝導率が高い金属
数多くある金属の中で、もっとも電気伝導率が高いのは「銀」です。銀は電気伝導率・熱伝導率ともに金属界のトップであり、展延性(加工のしやすさ)にも優れています。性能だけで言えば、銀のケーブルを作るのが理想的です。
その銀に次ぐ電気伝導率の高さを誇るのが「銅」です。ここでよくある誤解として、「金(ゴールド)の方が銅より電気が流れるのでは?」というものがあります。オーディオケーブルなどで金メッキが使われるためそう思われがちですが、代表的な純金属の比較では、電気伝導率は概ね「銀 > 銅 > 金」の順です。金は銅よりも電気を通しません。
では、なぜ金が使われるかというと、金は導電率そのものより、腐食しにくく接触抵抗が安定するため、コネクタの接点などに用いられます。電気を運ぶケーブル本体としては、銅や銀の方が優秀なのです。
金属の電気伝導率の比較
主な金属の電気伝導率(%IACS:焼鈍標準軟銅を100とした場合の比率)を比較してみましょう。
主要金属の電気伝導率一覧(代表値・20℃基準)
| 金属 | 電気伝導率(%IACS) | 特徴 |
|---|---|---|
| 銀 | 105.7 | 最も電気を通すが、価格が非常に高い。 |
| 銅 | 100 | 標準となる金属。性能と価格のバランスが良い。 |
| 金 | 75.8 | 錆びないが、導電率は銅より劣る。 |
| アルミニウム | 59.5 | 銅の約6割の性能だが、軽くて安い。 |
| 亜鉛 | 28.4 | |
| 真鍮(黄銅) | 26.0~43.0 | 加工性が良いが、導電率は銅の1/3〜1/4程度。 |
| リン青銅 | 10~26 | バネ性があり、端子によく使われる。材質により差が大きい。 |
| 鉄 | 17.5 | |
| ステンレス | 2~3程度 | 電気はあまり通さない。 |
※数値は代表値です。組成・加工状態により変動します。
注意点として、同じ銅製品でも「真鍮」や「リン青銅」といった合金になると、電気伝導率は純銅の3分の1以下にまで低下します。「銅色をしているから電気を通すだろう」と安易に選定せず、導電性が必要な場合は不純物の少ない「純銅(タフピッチ銅や無酸素銅)」を選ぶ必要があります。
なぜ「銅」なのか? 2026年の価格から見る「コスパ」の真実
もっとも性能が良いのは「銀」ですが、なぜケーブルには「銅」が使われるのでしょうか。理由は明白、「価格(コスト)」です。
2026年1月現在、金属価格は歴史的な高水準にあります。
- 銀価格: 約 527,000円/kg(店頭小売価格)
- 銅価格: 約 2,110円/kg(国内建値)
※相場により変動します。また、銀は小売価格、銅は建値と価格体系が異なります。
銅も以前より高くなりましたが、それでも銀の価格は銅の約250倍です。仮に家の配線をすべて銀にしたら、材料費だけで家がもう一軒建ってしまうかもしれません。
アルミニウムとの比較
一方で、銅よりも安価な「アルミニウム(数百円/kg)」をケーブルに使おうという動きも増えています。しかし、アルミの電気伝導率は銅の約60%しかありません。銅と同じ量の電気を流すには、アルミ電線を太く(断面積を大きく)する必要があります。
同等の抵抗(同じ損失)に合わせると、アルミは銅より断面積を大きくする必要があり、設計条件によっては外径で約1.3倍程度になるケースがあります。スペースに限りのあるスマートフォンやモーター内部、ビルの配管内では、「細くて大量の電気を流せる」銅の方が、トータルでのメリットが大きいのです。
つまり、「実用的な価格の中で、もっとも電気を通す金属」であること。これが、2026年の今でも銅が選ばれ続ける理由です。
注意点:適材適所の使い分け
ただし、すべての部品が純銅で作られているわけではありません。
コネクター・端子
銅線をつなぐ部分には、純銅ではなく「リン青銅」や「真鍮」が使われます。純銅は柔らかすぎるため、バネ性や強度が必要な部分には合金の方が適しているからです。
高圧送電線
高圧の架空送電線では、軽量で高強度なアルミ系導体(例:ACSR/鋼心アルミより線)が広く使われます。銅では重すぎて電線が垂れ下がってしまうため、導電率が低くても「軽さ」と「強度」を優先してアルミが採用されています。
まとめ
銅は、銀に次ぐトップクラスの電気伝導率を持ちながら、貴金属に比べれば圧倒的に安価という、奇跡的なバランスを持った金属です。EV普及や送配電網投資の拡大により、電気を効率よく運ぶ銅の重要性は2026年以降もますます高まると指摘されています。 もし現在、銅の加工や部品製造をご検討中なら、創業90年を超える実績を持つ私たちにお任せください。
「銅加工.com」を運営する畑鉄工株式会社(ハタメタルワークス)は、1935年の創業以来、90年以上にわたり銅加工の専門技術を磨いてきました。加工性に優れた銅の特性を活かし、最新のファイバーレーザーやマシニング加工機を駆使して、高精度な部品を短納期でお届けします。
試作から量産まで、銅加工のことなら畑鉄工株式会社までお気軽にご相談ください。
監修者情報
代表取締役 畑 敬三
株式会社ハタメタルワークスは、産業用電池や車輌機器向けの「銅加工」を専門とし、昭和10年の創業以来「誠実な対応」と「確かな製品」で信頼を築いてきました。迅速な対応により最短翌日納品が可能で、小ロットにも対応します。「小さな一流企業」を目指し、「銅加工ならハタメタルワークス」と評価されるまで成長。今後も独自の価値を提供し続けます。
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