ケーブルに銅が使用される理由とは?金属の電気伝導率の比較
こんにちは、「銅加工.com」を運営する畑鉄工株式会社、代表の畑です。
銅が食器や建築物などに用いられていることは、多くの方がご存知のことかと思います。実は、銅はその他にも「銅線ケーブル」として多くの場面で活躍している金属です。しかし、ケーブルに銅が用いられている理由まで把握している方は少ないでしょう。銅が数多くある金属の中でもケーブルに採用されている秘訣としては、「電気伝導率」が挙げられます。銅は金属の中でも電気伝導率が優れた金属として有名なのです。
今回は、そもそもの「電気伝導率とは何か」を解説するとともに、銅をはじめとするさまざまな金属の電気伝導率について紹介します。
物質によって異なる電気伝導率
電気伝導率とは、「電気伝導度」「導電率」「電導度」とも呼ばれる、その物資がどの程度の電気を通すか示す数値です。電気伝導率が高ければ、それだけ電気抵抗が少なくなるため、電化製品などの部品として採用されやすくなります。そして、この電気伝導率は金属の種類によって数値が大きく異なる点が特徴です。
たとえば、銀や銅などが高い電気伝導率を誇る一方で、ステンレスやチタンは低い数値となっています。そのため、何か金属加工した製品を作る場合には、その用途に合わせて使用する金属の電気伝導率を事前にチェックすることをおすすめします。
銅は銀の次に電気伝導率の高い金属
数多くある金属の中で、もっとも電気伝導率が高いのが「銀」です。銀は電気伝導率のほか、熱伝導率もトップクラスであることに加え、展延性(素材が破断せずに柔軟に変形する限界)にも優れるなど、製品利用において多くのメリットがある金属だと言えます。
その銀に次ぐ電気伝導率の高さを誇るのが「銅」です。電気伝導率のほか、加工生にも優れている銅は、多くの電化製品や建築物、調理器具などに用いられています。また、数ある金属の中で把握しておきたいのは、「金」の電気伝導率です。高価で希少な金は銀・銅と比べて電気伝導率が高いと誤解されがちですが、実際には2つの金属より低い数値となります。とはいえ、金属の中では3番目に高い数値であるため、決して電気伝導率が低いわけではありません。
金属の電気伝導率の比較
金属にはさまざまな種類があるため、どの種類がどれくらいの電気伝導率なのかを気になる方もいるでしょう。そこで主な金属の電気伝導率を一覧で紹介します。もし金属加工を検討している場合には、検討中の金属の電気伝導率をチェックしてみてください。
金属 | 電気伝導率 |
---|---|
銀 | 105.7 |
銅 | 100.0 |
金 | 75.8 |
アルミニウム | 59.5 |
亜鉛 | 28.4 |
真鍮(黄銅) | 26.0~43.0 |
リン青銅 | 25.0 |
ニッケル | 24.2 |
鉄 | 17.5 |
錫 | 14.6 |
鉛 | 8.1 |
チタン | 4.0 |
上記の数値を見ても一目瞭然ですが、銀と銅の電気伝導率はその他の金属と比べて非常に高い水準であることが分かります。また、注意点として銅の中でも真鍮(黄銅)やリン青銅といった「銅合金」の場合は、電気伝導率の数値も低下します。もし銅に電気伝導率の高さを求めているのであれば、不純物が入っていない「純銅」を選ぶようにしましょう。
安価で電気を通す銅は非常に便利
すでに紹介した通り、金属の中でもっとも電気伝導率が高いのは銀です。ではなぜケーブルなどには銀ではなく、銅がもっとも採用されているのでしょうか。その理由は「価格」にあります。宝飾品としても使用される高価な銀を、大量生産されるケースもあるケーブルなどに用いると莫大なコストがかかってしまいます。
コストの問題は、電気伝導率3位の金も同様です。コストパフォーマンスの面を加味すると、ケーブルへの使用に適している金属とは言い難いでしょう。一方で、銅は比較的リーズナブルな価格で手に入る金属であり、電気伝導率の高さを見ても銀と大きな差はありません。加えて、銅は加工生・耐熱性・展延性に優れており、人体に対する毒性もほとんどないという強みがあります。金属としての性質と価格などの要因から、銅はケーブルを始め多くの場面で選ばれる金属となったのだと言えるでしょう。
注意点として、銅線をつなぐ役割を果たすコネクターには、銅ではなくリン青銅や真鍮(黄銅)が使用される傾向にあります。これは、リン青銅や真鍮(黄銅)の持つバネ性やプレス性が、銅と比べて優れていることが理由です。また、高圧電線に対しては、銅ではなくより軽量なアルミニウムが用いられています。
まとめ
今回は、銅をはじめとする主な金属の電気伝導率について紹介しました。銅はトップクラスの電気伝導率であることに加え、比較的安価で入手が可能などコストパフォーマンスに優れた金属です。こうした特徴から、銅は日々さまざまな形に加工され、ケーブルに限らず多くの場面で活用されています。もし現在、銅の加工を検討されているなら、満足度の高い成果物を実現するため、優れた技術と経験を備えた業者に依頼することをおすすめします。
「銅加工.com」を運営している畑鉄工株式会社では、1935年に創業して以来、多くの銅加工依頼に対応し続けてきました。80年以上にわたって培ってきた豊富なノウハウを武器とし、さまざまな加工方法に対応できる点が大きな強みです。もし銅加工の依頼を検討中の場合は、ぜひ畑鉄工株式会社までご相談ください。
監修者情報
代表取締役 畑 敬三
株式会社ハタメタルワークスは、産業用電池や車輌機器向けの「銅加工」を専門とし、昭和10年の創業以来「誠実な対応」と「確かな製品」で信頼を築いてきました。迅速な対応により最短翌日納品が可能で、小ロットにも対応します。「小さな一流企業」を目指し、「銅加工ならハタメタルワークス」と評価されるまで成長。今後も独自の価値を提供し続けます。
詳しくはこちら