金属を溶かして接着剤に?銅を接合する「ロウ付け」とは

金属を溶かして接着剤に?銅を接合する「ロウ付け」とは

こんにちは、「銅加工.com」を運営する畑鉄工株式会社、代表の畑です。

金属の溶接には、さまざまな方法があるとご存知でしょうか。その中でも、溶かしたロウをいわば「接着剤」代わりにして溶接する「ロウ付け」は、母材(加工に使用する金属)を傷つけずに加工できる方法として、頻繁に用いられています。ではロウ付けはどんなシチュエーションの加工で採用されるケースが多いのでしょうか。今回は、ロウ付けの特徴について解説するとともに、混同されがちな「はんだ付け」との違いについても紹介します。

押さえておきたい金属を溶接する方法

金属を溶接する方法には、大きく分けて「融接」「圧接」「ロウ付け(ロウ接)」の3種類があります。それぞれ特徴は異なるため、ここでくわしくその違いを確認しましょう。

融接

融接とは、溶接そのものとして語られるケースもあるほどのメジャーな方法です。具体的には、母材の溶接部分を加熱することによって、2つの金属を融合させきます。多くの場合、母材同士のみでの接合となりますが、接合の補助として「溶加材」を加えるケースもあるのが特徴です。

また、融接の中にもいくつかの種類があり、気体中に生じる放電現象を利用した「アーク溶接」、可燃性ガスの燃焼で生じた熱を使う「ガス溶接」、レーザー光線を用いる「レーザー溶接」などがあり、さまざまな加工物に対応できます。

圧接

圧接とは、「加圧溶接」の略称であり、母材を溶かさず固形のまま接合する加工方法です。具体的な方法として、母材の接合部に対して機械による圧力を加えることで接合します。機械によって接合を行うため、数値制御が可能な点が大きな魅力です。

また、圧接の中には圧力だけで接合する方法のみならず、摩擦熱により圧着していく方法もあります。そのほか、ガスの炎によって加熱圧着させる方法もあり、多岐にわたる加工手法が存在するのが特徴です。

ロウ付け

ロウ付けとは、「母材よりも融点が低い素材」であるロウ材・はんだ材を加熱することで融解。母材同士の隙間に流し込むことで、母材になじませて接合させる方法。いわば「金属の接着剤」です。これにより、母材を溶かさずに接合することが可能となります。

また、ロウ材にはさまざまな種類があり、母材の融点を踏まえて適した素材をチョイスできる点も、ロウ付けならではの強みと言えるでしょう。

 

ロウ付けの特徴や仕上がり

ロウ付けの強みとして、母材を傷つけるリスクがないまま接合できる点が挙げられます。溶解させるのはロウ材であり、これがそのまま接着剤の役割を果たします。そのため、母材に手を加えずに完成度の高い加工の実現が期待できるほか、接合部は高気密性かつ導電性・熱伝導率に優れているのも強みです。また、母材同士を溶解させる必要がないことから、異なる金属の接合に適している点も見逃せません。加えて、他の溶接方法と比べて美しい仕上がりも期待できます。

こうした特徴から、ロウ付けはシルバーアクセサリーの加工やパイプの接合といった場面において用いられる傾向にあります。さらに、ロウ付けは長い歴史を持つ溶接方法として知られ、エジプト期の文化遺産や奈良の大仏製造時にも採用されてきました。

 

はんだ付けとの違いとは

ロウ付けと混同されがちな溶接方法として、「はんだ付け」が挙げられます。実際、この2つは溶接方法が似通っているものの、溶かすものが「ロウ」か「はんだ」かの違いが最大の相違点です。それぞれ融点が異なります。はんだは450℃以下の温度で液体化する一方で、ロウは450℃以上の温度で液体化します。はんだと比べ、ロウはより高温な環境にも耐えられるのが持ち味であり、強度の点でも上回っているのが特徴です。

また、ロウ付けとはんだ付けでは、加熱する道具が異なります。はんだ付けによる加工の場合は「はんだごて」が使用されるのに対して、ロウ付けではより高温に対応できる「ガスバーナー」「工業炉」「真空炉」「高周波誘導加熱装置」を用いて実施します。

 

銅のロウ付けに適したロウ材

ロウ付けを行う際は、以下のような「ロウ材」から、母材に適した種類を選択していきます。

【銅加工で使用されるロウ材】

・銀ロウ
・銅、黄銅
・リン銅ロウ
・アルミニウムロウ
・ニッケルロウ
・金ロウ
・パラジウムロウ

 

上記の中でも「銀ロウ」は、真鍮や銅合金(真鍮、同)を高強度で溶接することが可能です。接合強度が非常に高いという特性から、センサー部品などに採用されることも。また、融点も700度前後と高いので、高温下で使用しても外れないという特徴があります。 

 

まとめ

今回は、銅を接合する際に使用する溶接方法「ロウ付け」について紹介しました。溶接方法にはさまざまな種類がありますが、ロウ付けは母材を傷つけないという強みがあるため、比較的加工に採用されやすいと考えられるでしょう。ただし、満足いく加工を実現するためには、熟練の技術と豊富な知識を備えた加工業者に依頼する必要があります。

「銅加工.com」を運営している畑鉄工株式会社では、1935年の創業以来、銅を中心として多くの金属加工に対応してきました。過去の経験のノウハウを活かした作業を実施しているため、お客様の希望に沿った加工物完成をお約束します。もしロウ付けによる銅加工を依頼しているのであれば、畑鉄工株式会社までご相談ください。

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