導電性の高い銅製品の耐久性・安全性を高める絶縁処理
こんにちは、「銅加工.com」を運営する畑鉄工株式会社、代表の畑です。
金属の中でも銅は導電性の高さで知られており、それゆえ加工素材としても採用率も高い傾向にあります。しかし、導電性が高いゆえに適切な処理を施さないと感電などのトラブルにつながりかねません。そうした導電性の高い銅の特性を踏まえ、安全性を高めつつ耐久性をも向上させる手段として用いられるのが「絶縁処理」です。
今回は、絶縁処理の特徴について解説するとともに、「導体」「半導体」「絶縁体」それぞれの詳細にも触れていきます。
事故防止にもつながる絶縁処理とは
導電性の高い銅製品の絶縁処理について、必要性が分からない方もいるでしょう。しかし、銅製品に限らず多くの物質に施される絶縁処理は、感電やショートなど予期せぬ事故を防止するうえで重要です。
たとえば、電気が流れるエリアで何らかの作業を実施する際は、まず周辺機器の電源を切ることが一般的です。しかし、それでも近くの通電機器から思わぬ電気の通り道が生じていることで、感電や機械のショートなどのリスクが懸念されます。絶縁処理は、こうした予測不可能であり危険の多い状況から、人体や機械を守るための手法としても効果的です。
導体・半導体・絶縁体の違い
絶縁処理について検討する際、理解しておきたいのが「導体」「半導体」「絶縁体」の基本や違いです。銅などの金属製品に対して適切な絶縁処理を行うためにも、3つの物質の特徴を正確に把握しましょう。
導体
導体とは、電気をよく通す物質のことです。銅や金、銀、アルミニウムなどはこの導体に分類されます。導体は自由電子の数が多く電気の通りがよいため、ケーブルの心線などに用いられるのが特徴です。導体のなかでも銅は導電性が高く、各製品への採用率が高い素材だと言えます。
半導体
半導体は、導体と絶縁体2つの物質の特性を備えています。特徴は、温度によって絶縁性能が変化する点です。半導体の代表的物質として扱われる「シリコン」は、低温下の環境では絶縁体の性質を備えていますが、温度が上昇するにつれ導体としての性質が表れ、電気を通すようになります。こうした特殊性質を活かし、半導体は主に電子部品に利用されています。
絶縁体
絶縁体とは、自由電子の移動が少なく、電気を通さない物質です。絶縁体に分類される物質には、ゴムやガラスなどが挙げられます。電子を束縛する絶縁体は、よほど高い電圧が加わらない限り、電子を動かしません。そのため、回路の絶縁処理などに用いる材料として使用されています。また、純水についても絶縁体に分類されるのが特徴です。一方で、水に塩類などの不純物が混ざってしまうと絶縁性能が低下し、導体となってしまうため注意する必要があります。
絶縁処理をおすすめするのは金属の接点
金属に絶縁処理を施す際、どの箇所に実施すればいいか悩む方もいるかもしれません。おすすめは、金属の接点部分です。
異なる金属同士が触れ合うことで予期せぬ通電を生み、そこから感電やショートにつながるリスクは否定できません。そのため、あらかじめ接する可能性がある部分に絶縁処理を施すことで、不測の事態をある程度防ぐことにもつながります。
電気を通す銅は絶縁処理が重要
すでに紹介したように、銅は導体の中 でも導電性が高いことから、非常に多くの場面で用いられている金属です。しかし、導電性に優れた銅を使用するのであれば、同時に安全性にもしっかり配慮する必要があります。 なお、絶縁処理には下記のようなアイテムを使用するケースがあります。状況に合わせ、ベストなものを選ぶのがポイントです。
【絶縁処理に用いるアイテム例】
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テープ(塩ビ、アセテート、ガラス)
【特徴】
塩ビタイプは高い電気絶縁性・柔軟性を備え、伸びやすく燃えにくいのが特徴。耐寒性に優れているので低温環境でも使用できます。一方、耐熱性には優れていないので、高温になる場所では粘着剤がベタベタになることも。アセテートタイプの場合、塩ビタイプのようにように大きく伸ばして貼ることは難しいものの、粘着剤が熱に強いので、ベタベタになりにくい傾向があります。ガラスタイプは耐熱性に優れているため、耐熱コイルなど高温になる部分の絶縁向きです。 -
チューブ(塩ビ、ポリオレフィン)
【特徴】
電線のつなぎ目を絶縁・保護するためのチューブです。熱を加えると細く縮み、中の電線にフィットします。ゴミや水が中に入りにくくなるため、防水性・防食性にも優れています。 -
コーティング(塩ビ、ナイロン、エポキシ)
【特徴】
対象物に用いると、表面に絶縁性の高い膜を形成。この膜により電気が漏れにくくなるため、漏電などを防止できます。
まとめ
今回は、金属に対する「絶縁処理」について紹介しました。銅は高い導電性を誇るだけでなく、高い加工技術を要する金属ですが、安心して取り扱うためには絶縁処理を施す必要があります。絶縁処理は加工を依頼した業者の技術が高ければ高いほど性能も向上するため、できる限り熟練の技術と豊富な知識を備えたところに依頼する必要があるでしょう。
「銅加工.com」を運営している畑鉄工株式会社では1935年の創業以来、銅を中心として多くの金属加工に対応してきました。絶縁処理についても対応可能であり、機械設備の能力を最大限に引き出したうえで、ショートや発火などの事故を防ぐ高精度な絶縁処理をお約束しています。絶縁処理を依頼する業者を探しているようなら、畑鉄工株式会社までご相談ください。
監修者情報
代表取締役 畑 敬三
株式会社ハタメタルワークスは、産業用電池や車輌機器向けの「銅加工」を専門とし、昭和10年の創業以来「誠実な対応」と「確かな製品」で信頼を築いてきました。迅速な対応により最短翌日納品が可能で、小ロットにも対応します。「小さな一流企業」を目指し、「銅加工ならハタメタルワークス」と評価されるまで成長。今後も独自の価値を提供し続けます。
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