プレス加工の一種【曲げ加工】を徹底解説
プレス加工は、金属を加工する際に圧力をかけて形状を変える方法です。深絞り加工、打抜き加工、エンボス加工、コインリング、引き抜き加工など、さまざまな種類が存在します。
今回は、その中でもプレス加工の基本的な工法である「曲げ加工」に焦点を当ててご紹介します。
曲げ加工とは?
曲げ加工は、金属の板を特定の形状に曲げるプレス加工の一種で、さまざまな形と角度に変えることができます。立体的な部品も成形でき、技術が必要なプレス加工の中でも特に重要です。
金属材料は、一般的にはアルミニウム、鋼鉄、ステンレス鋼などが使用されます。それらは、製品の柔軟性や強度によって選定されます。また、最近では銅加工も注目を集めており「柔らかく加工に向いていること」や「優れた導電性」などの特性から、選択されることが増えているのです。
曲げ加工は、単純な部品の成形から建築材料、自動車部品、電子機器の筐体(きょうたい)まで、多岐にわたる産業分野で活用されています。
曲げ加工の基本原理
曲げ加工は、金属の板を2点で支え、その中央を直角方向に押すことで外側が伸び、内側が逆に縮んで反りが生じる仕組みです。力の計算式は、曲げモーメント(M)=押す力(荷重)×距離で求められます。曲げモーメントが大きいと、金属が曲がる力も増大し、それに伴って金属が目的の形状に変形するのです。
適切な曲げモーメントの管理は、曲げ割れやスプリングバックなどのトラブルを予防する上でとても重要です。
曲げ加工の手順
1、材料の準備
加工する金属板は適切なサイズに切断され、必要に応じて表面処理が行われます。
2、プレスダイの設置
プレスダイがプレス機械に取り付けられ、金属板が挟まれるように配置されます。
3、圧力の適用
プレス機械が作動し、プレスダイが金属板を目的の形状に曲げるための圧力をかけます。
また、曲げ加工においては、精密な寸法管理が重要です。寸法の正確性は、製品の機能や組み立て時の適合性に大きな影響を与えます。そのため、製造プロセス中において寸法管理が行われ、必要に応じて細かい調整や修正が行われます。
曲げ割れを防ぐには
曲げ割れは、外部からの曲げ応力によって発生する破損現象です。外側では引張応力が、内側では圧縮応力が発生し、これが限界を越えると曲げ割れが生じます。
曲げ割れを防ぐためには「ゆがみを小さくする工夫」や「材料の選定」、「割れるきっかけを緩和する」ことが重要です。材料を変更し延性を高めることで、同じ応力がかかっても延びやすくなります。また、割れるきっかけである応力集中を緩和することも考慮し、板材を切断した際のダレ面を外側、バリ面を内側にする、切断面をきれいに仕上げるなどの工夫も必要です。
スプリングバックの管理
スプリングバックは、曲げた板が元の形状に戻ろうとする現象であり、製品の寸法変化に大きく影響します。曲げ加工後にパンチを離して荷重を取り除くと、角度が開く方向に少し変化してしまい、目的の角度にすることができません。金属の持つ、もとの形に戻ろうとする性質が原因となります。精度不良や加工不良の原因となるため、しっかりとした対策が必要です。
スプリングバックを最小化するためには、予め考慮して角度を調整する必要があります。薄い板材や強度が高い板材はスプリングバックが起こりやすいため、製造プロセスや材料の調整が必要です。特に精密な製品の場合、スプリングバックの影響を最小限に抑える工夫が求められます。
まとめ
今回は、製造業において欠かせない技術である曲げ加工に焦点を当ててご紹介しました。プレス加工の基本である曲げ加工の基本原理や手順、曲げ割れ、スプリングバックについて理解することで、高品質なものづくりが可能となります。
監修者情報
代表取締役 畑 敬三
株式会社ハタメタルワークスは、産業用電池や車輌機器向けの「銅加工」を専門とし、昭和10年の創業以来「誠実な対応」と「確かな製品」で信頼を築いてきました。迅速な対応により最短翌日納品が可能で、小ロットにも対応します。「小さな一流企業」を目指し、「銅加工ならハタメタルワークス」と評価されるまで成長。今後も独自の価値を提供し続けます。
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