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アルミの押出加工とは?複雑な形状を作る技術

アルミの押出加工とは?複雑な形状を作る技術

アルミの押出加工とは?複雑な形状を作る技術

私たちの身のまわりには、金属加工によって作られた製品がたくさんあります。たとえば、スマホやパソコンには電気をよく通す銅が使われ「銅加工」が欠かせません。さらに、自動車部品などには軽くて丈夫なアルミが使われ「押出加工」という技術が必要です。つまり、金属加工の技術が私たちの暮らしを支えているのです。今回は**「アルミの押出加工」**に注目し、わかりやすくご説明します。

そもそもアルミの押出加工とは?

アルミの押出加工とは、アルミを加熱して柔らかくし、特殊な機械で押し出してさまざまな形の製品をつくる加工方法です。また、アルミの加工方法には押出加工のほかに**「引抜加工」**と呼ばれる方法もあります。どちらも金型を使いますが、押出加工が加熱したアルミを押し出すのに対し、引抜加工ではアルミを加熱せず常温のまま金型に通して引っ張り、形を整えていく加工方法です。引抜加工は、細くて長い棒や線材などの製品に適しています。

押出加工の方法

1 アルミを熱する

まず、アルミを柔らかくして加工しやすくするために**400~500 ℃**に熱します。

2 特殊な機械で圧力をかけて押し出す

熱して柔らかくなったアルミを、特殊なプレスで圧力をかけて押し出します。このとき、製品の形をした**「金型(ダイス)」**と呼ばれる穴に通します。

3 製品が仕上がる

金型を通ると、アルミは金型の形そのままの断面を持った状態で押し出され、製品として仕上がります。

【技術コラム】直接押出と間接押出
方式 模式図(矢印=金属の流れ) 特長 向いている断面
直接押出 ダイス⇢⬅ビレット(固定)プレスラムがビレットをダイスへ押し付ける   中〜大断面・中空形状
間接押出 ⬅ダイス一体型ラム⇢ビレットビレットは容器側へ相対的に動く   肉厚の薄い小断面・高精度形状

ダイス:金型 ビレット:押出用円柱材料

アルミ合金の代表例と機械的性質

合金 状態 (T6) 降伏強さ (MPa) 引張強さ (MPa) 熱伝導率 (W/m·K) 主な用途
6063 T6 約 170 約 205 ~200 建材サッシ、LEDヒートシンク、中空パイプ
6061 T6 約 275 約 310 ~167 車両フレーム、機械構造材、レジャー用品

※数値は代表値であり、形状・熱処理条件により変動します。

押出比・押出速度・冷却方法が品質に与える影響

要素 説明 影響する品質項目
押出比(容器断面積 ÷ 製品断面積) 値が大きいほど金属が大きく絞られ、内部組織が均一化 機械的強度向上・表面平滑化
押出速度 高速化すると生産性が向上する一方、金属温度が上がりやすい 寸法ばらつき・表面荒れ
冷却方法(空冷/水冷) 空冷=ゆっくり冷やす、水冷=急冷 結晶粒微細化・硬度変化・反り

アルミの押出加工に関する規格と品質数値

  • JIS H4100「アルミニウム及びアルミニウム合金押出材」
  • ASTM B221「Aluminum and Aluminum-Alloy Extruded Bars, Rods, Wire, Profiles, and Tubes」
項目 代表値/参考例
一般公差例 厚み・幅 ±0.15 mm(中小断面品)
表面粗さ(Ra) 1.6~3.2 µm(押出直後のミルフィニッシュ)

アルミの押出加工のメリットと特徴

  • 軽量で丈夫 アルミ素材は強さと軽さの両方を兼ね備えています。自動車部品や建物にも安心して使用できます。
  • 環境に優しい アルミ素材は溶かして何度も再利用でき、資源の有効活用に役立ちます。さらに、アルミ素材は軽いため、運搬時に使う燃料の節約になります。
  • 自由な設計 押出加工では多様な形状や大きさの製品が作れます。たとえば星形、四角形、丸形などオリジナリティのある断面も可能です。
  • 中空構造が得意 ストローのように中が空洞のパイプ・筒形状を一度の工程で製造できます。
  • 安定した品質 寸法や精度を保ちながら製品を作れるため、後加工の手間を省き、安定した品質を維持できます。
  • 大量生産も可能 一度形を決めれば、同じ製品を連続的に生産できるためコストパフォーマンスにも優れています。

押出加工の製品例

  • テレビやパソコンの部品
  • 自動車部品のフレーム
  • 電子機器の筐体
  • 建材のサッシやドア枠
  • 太陽光発電パネルのフレーム
  • LED 照明器具のヒートシンク

まとめ

アルミは軽量で丈夫な素材として日常生活のあらゆる場面で活躍しています。なかでも、押出加工で作られたアルミ製品は自動車部品、電子機器部品、建材のサッシなど多岐にわたります。押出比・押出速度・冷却方法の最適化や JIS H4100 に基づく公差管理により、安定した品質を実現できるのが押出加工の強みです。軽量化や省エネのニーズが高まる現代において、アルミの押出加工は今後も欠かせない重要技術となるでしょう。

監修者情報
代表取締役 畑 敬三
不動産売却と不動産買取の専門店日本橋ホーム株式会社 株式会社ハタメタルワークスは、産業用電池や車輌機器向けの「銅加工」を専門とし、昭和10年の創業以来「誠実な対応」と「確かな製品」で信頼を築いてきました。迅速な対応により最短翌日納品が可能で、小ロットにも対応します。「小さな一流企業」を目指し、「銅加工ならハタメタルワークス」と評価されるまで成長。今後も独自の価値を提供し続けます。 詳しくはこちら

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